マエタケのテレビ半世紀
書 題:マエタケのテレビ半生記
副 題:
著 者:前田武彦
出版社:いそっぷ社
発行年:2003/6/30
昭和の名司会者・前田武彦、その前身は放送作家であった。
往時の放送作家は、毎回毎回、それなりに内容を充実させた、
番組としてきちんと完結した内容を書き上げなければならなかった。
タレントのアドリブに頼れる今とは格段に違う酷使された仕事で、
青島幸男なども、タレントの方が楽だと、画面に出る方を選んだ存在であった。

テレビ黎明期の放送作家であった前田武彦も、その様な道を選ぶ事になるが、
この本では、その青島への痛烈なライバル意識も隠さず吐露されている。
経歴的には、前田はほとんどの作家の先輩であって、大橋巨泉も青島も、
前田の後を続いたに過ぎないし、敬愛こそすれ、ライバル意識という感覚ではなかったろう。
しかし、追われる立場の前田にとっては、二人とも、偉大なるライバルであった。

元々はラジオ出演で人気を呼び、当時の視聴者には、
前田の語りが楽しみだった番組を幾つも覚えている方もいるだろう。
夜のヒットスタジオでコンビを組む事になる芳村真理も、元はラジオで出会っている。
そこから始まる夜のヒットスタジオに関する話は、やはりこの本の中核である。
当然、例の所謂「共産党バンザイ」事件についても、本人としての意見が綴られている。

それについては本家ブログの夜ヒット記事で抜粋したので割愛するが、
やはり記憶に頼って綴った、本人による記述であるから、
あくまでも当人の言い分として受け止める必要も有ろう。
それも貴重ではあるが、やはりテレビ誕生期からの作家としての、
真の黎明期の記述が貴重で、面白い。

テレビ誕生五十年に出されたので「半世紀」と銘打っているのだが、
いわゆる復帰とそれ以降に関する話で割愛されたと思われる部分も多く、
例えば関口宏事務所に所属する事になった経緯などは何も語られていない。
もしかすると、最後で予告されていた、テレビの還暦に書いてもいいとしていた
続編に書くつもりだったのか。楽しみにしていたので、非常に無念である。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:5
  記憶語りが主となる。しかし有益な語り残しであって、黎明期の記述は特に貴重。

面白さ:8
  やはり、黎明期からのラジオ・テレビを駆け抜けた当事者の体験談は面白い。

必携度:4
  前田武彦や彼の番組に興味が無い人には不要か。

入手難度:8
  いざ探してみるとなかなか見つからない。夜ヒットの部分を読みたがる人が多いのか。