放送史事典書 題:放送史事典
副 題:
著 者:南 利明(編集)
出版社:学友会センター
発行年:1992/4/5
なんだか凄い本を出したもんだなあというのが、
この本の存在を知った時の第一の感想。
「凄い」というのには、多分に皮肉の意味合いが込められていたが。
よりにもよって、放送史全般に関わる事典など、
少なくともワタクシに満足できる充実度では、
出来るわけはないと高を括っていたからだ。

そして、その感想は入手しても変わらない。
土台、放送史の事典をもし万一制作するとなれば、
それこそ広辞苑編纂なみの労力と時間を要するはずである。
この本は、ワタクシに言わせれば「事典」とは呼べない。
第一に、収録語があまりに少なすぎる。
「事典」と銘打つには根本的な問題だ。

第二に、第一点に原因が有るのだろうが、収録語の選定があまりに恣意的すぎる。
例えば「舞台・いのちの限り」などという、宇野重吉のドキュメンタリーが
収録されているかと思えば、「エイトマン」あたりすら載っていない。
番組名ではない事柄でも同様である。
「シンギングコマーシャル」などという項目が有るが、
このような語を知りたい時、普通は「CM」乃至「コマーシャル」で引くだろう。
ところが、「コマーシャル」では索引に載っていない。冗談としか思えない。
この点も、事典としては致命的な欠陥である。
すなわち、どういう語を調べたい時に紐解けば良いのかの基準が無い。

とまあ、かように文句を付けたくなるのも、わざわざ「事典」などと銘打って、
箱付装丁でいかにもの風で出しているからかんに障るだけであって、
普通の放送関連書籍としてみれば労作には違いないし、
他ではあまり扱われないような事象も数多く解説されており、
余裕が有る人や一冊でも多く資料が欲しい人は、持っていても良いかもしれない。
一般書籍として考えると価格はかなり高め(本体定価:7500円)になるが。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:6
  選定基準がわからないので、載っているかどうかの確認が面倒。

面白さ:3
  あくまで「事典」なので、一般に掘り下げは甘い。

必携度:3
  余裕が有る人、多くの資料が欲しい人のみ、安価なら入手してもいいかも。

入手難度:4
   上手く古書店を漁れば安価で入手できる。