テレビ大鑑書 題:日本 欧米 テレビ大観
副 題:キネマ旬報・増刊
著 者:
出版社:キネマ旬報社
発行年:1953/4/10
昭和28年2月1日、日本放送協会がテレビ本放送を開始。
アメリカとの人脈を活かして、予備免許では公共放送たる
NHKをも飛び越えた一番乗りを果たした日本テレビは、
当初の目論見が色々と狂って、放送開始が遅れていた。
この辺の裏事情は、既にご紹介した『日本テレビとCIA』に詳しい。

この本は、NHKが既に放送開始、NTVの放送が遅々として始まらぬ頃に出版された。
発行日は4月10日になっているから、おそらく実際に発売されたのは、
NHKが放送を始めて1ヶ月くらいの頃に出されたのだろう。
という事は、取材はギリギリ、本当に放送開始直後までのものであろう。
表紙の煽りに『日本最初のテレビ全書』と謳っているけれども、
この時期に自ら宣言しているのだから、正しくこの書が、日本初のテレビ放送本である。
表紙が斜めに裁断されてしまっているのも、味というものだろう(笑)。

従って内容は、実際に放送されている番組に関しては非常に少ない。
テレビの原理解説や、歴史解説、関係者や評論家によるテレビ論等が主である。
テレビの人々という紹介記事で、「日本テレビ放送網という会社は掛け声の勇ましい割に、
出足がおそい」なんて書いてあるのが可笑しい。往時は記者も忌憚なく書いていたのか。
また、大宅壮一が既にこの時よりテレビに懸念を示している。けれども彼は、
そんなテレビに出まくって、あまつさえバラエティ番組にも出まくるのだが(笑)。
高柳健次郎の寄稿もある。テレビ関係者総登場といった趣きだ。

テレビの歴史総覧のようなものや、当時の視聴者アンケートの分析、
全視聴者名や出演者名簿(当時は住所まで載せている)あたりが特に貴重か。
当時に於ける諸外国のテレビ放送実情も、実際に見聞した人々によって報告されている。
これも、他書ではなかなか知る事の出来ない描写だろう。
総じて言えるのは、やはり非常に数少ないテレビ放送開始時期の同時代資料として、
興味を持つ者であれば手にしておきたいところではなかろうか。 


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:9
  テレビ放送開始時期の貴重な同時代資料。執筆陣も選りすぐられている。

面白さ:2
  まだテレビそのものも黎明期で、資料の他はこれからの展望とかが多い。

必携度:6
  研究意思の有る人なら、機会が有れば当時の様子を知るべきだろう。

入手難度:4
  古書店を漁れば見つかる。