ゲバゲバ みごろ!たべごろ! 全員集合書 題:ゲバゲバ みごろ!たべごろ! 全員集合
副 題:ぼくの書いた笑テレビ
著 者:田村 隆
出版社:双葉社
発行年:2002/10/15
先にボロクソに書いた『天下御免のワースト番組 全員!集合!!』の著者である田村隆が、
それを遡ること約五年となる時期に、先に書いていた著作である。
結論から言えば、これは大変に面白い。
青島幸男の弟子となるまでの経緯から、シャボン玉ホリデーのコントを売り込む様子。
或る時、家族みんなで『シャボン玉』を見ていた時に田村隆の名が予告で表示されて、
にべもなかった青島が「フフン」と鼻で笑っていた原稿が、
実は採用されていたのだという話などは、少し感動してしまう。

結局、この人はコント作家として天才なのであろう。 
大学在学中に「俺にも書けそうだ」と送ったコントが即注目され、出て来いと言われたり、
まあ天才を見出す方も天才だったから良かったというのも有るだろうが。
この本では随所に番組毎のコント例が掲載されているけれども、
特に自分でも出来が良いと思ったであろうものを載せているとしても、
どれも見事に面白く、画面を思い描きながら読んでいると、つい「ブフッ」と吹き出してしまう。

ま。伊東四朗と小松政夫がやっていたコントは、二人のノリに助けられていたろうけれど、
ノせるホンだったというのは間違い無く有ったろう。
「いいんだいいんだ、僕さえアルプスに帰って…」はいろいろ応用が利くし、
実際、あの頃はよく周りでも真似をしていた。
上手い俳優はコントが上手いなんて事はなくて、たまたまそういう人もいるだろうけれど、 
やはり喜劇・コントっていうのは一番難しいとワタクシも観る側として思うし、
ゲバゲバに出ていた俳優があれをやっても、馬鹿にしか見えなかったろう。

この本では、そうした数々の名作バラエティー番組に関わった思い出話、
実際のコント例、関わった人物達の実像が、非常に楽しく描写されている。
しかも、目上の人でもただのべんちゃらにはなっていない。
この著者は良くも悪くも正直、一言で言えば馬鹿正直なんだろうが(笑)、
きちんと腹が立った事も有ったというような事まで書き表している。
そこから、当時この著者がどのような姿勢で番組と接していたかが、
より実像として迫ってきやすい感じになる。

ワタクシも馬鹿正直では人後に落ちないので、先の著書はボロクソに書いたが、
この本は貶すべき要素は一つも無い。と言うか、コント好きは是非読むべきだと勧めたい。
ただただ、一人の偉大な先達、そして、羨ましき生涯を過ごした人物の、
貴重な著作として面白く、楽しく読んだ。
きっと、あの本は「あ・うん」なんて訳わかんないところに知り合いが居て、
あまり書きたいこともないのに埋め草みたいな感じで書いたんじゃないかな。
全員集合で没になったのを東京12チャンネルで使ったコントみたいな本だもの(笑)。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:3
  コント例は幾つか載っているが、全体的に資料性はほとんど無い。

面白さ:7
  様々な人物との関係が、著者ならではの描写で面白く活写されている。

必携度:4
  全員集合マニアなら、第一回から最終回まで関わった男の談を読んでおくべきか。

入手難度:5
  探せば普通に見つかるし、焦らなければ安価で入手可能。