外国テレビフィルム盛衰史書 題:外国テレビフィルム盛衰史
副 題:
著 者:乾直明
出版社:晶文社
発行年:1990/11/30
外国テレビに関しては、この人をおいて他にはいないという、
知る人ぞ知る著者による大著である。
ハードカバー約600ページの押し出しは、書棚に迫力を加えてくれる。
ただ、中身も充実しているとまでは、個人的には感じない。
字が大きく、6000円近い定価を考えると、もっと詳細に語って欲しかった。
画像は非常に多く載せられており、おそらくその権利料が嵩むだろうから、
価格に関しては納得できるのだが、その分、内容のサービスも欲しかった。

内容は、日本でテレビ放送が始まった昭和28年から出版当時の平成4年まで、
大まかなテレビ史、外国テレビ史を年度ごとに語っていくものである。
本当にザッと流すという感じの描写と、2ページあたり3枚程度の画像で構成される。
画像には非常に貴重な作品も多い。たしかにそれだけでも結構な価値なのだが。
それにしても、もう少し個別番組の解説も有ると思った。
見かけ倒しとまで書いたらキツイ表現になるが、率直な印象である。

巻末にはこの著者ならではの、外国テレビ番組全リストが有る。
資料的価値はけっこう高いのだが、放送年度と本国・日本での放送局の列記にとどまる。
東京ニュース通信社の『テレビドラマ全史』のように、
これら全作品に関するもう少し詳細な情報と画像を載せてくれていれば、
テレビ史的にも私的にも、もっと貴重な書籍になったろう。
それだけの力量と知識量は持っているはずの著者であり、
これだけの大著を仕上げると、更にとはならないであろう事も考えると、
個人的には残念な本である。 


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:7
  巻末のリストにはそれなりの価値あり。

面白さ:5
  各章の文章量が、価格を考えると物足りない。

必携度:5
  金銭・書庫に余裕の有る人と、一冊でも多く資料の欲しい人だけどうぞ。

入手難度:3
  アマゾン等で定価よりは安く入手可能。