実録テレビ時代劇史書 題:実録 テレビ時代劇史
副 題:ちゃんばらクロニクル1953-1998
著 者:能村庸一
出版社:東京新聞出版局
発行年:1999/1/8
著者は昭和38年にフジテレビ入社。
以後、アナウンサーから編成企画部、様々な仕事に就くも、
大きなところは時代劇プロデューサーとして力を振るった。
しかし、このタイトルでハードカバー500ページ近い押し出しである。
当然、ここではフジテレビ系列にはまったく囚われず、
ほぼ完全なるテレビ時代劇通史というものを描写している。

ほぼ、というのはどうしても、自身が強く関わったもの、
特に平成以後の池波正太郎ものなどは、質量とも違うからだ。
とは言え、その他の通史部分も決してお座なりではない。
様々な資料や人脈を縦横に駆使して、この書題に相応しい内容となっている。
既に高齢化していた初期関係者の中には、取材が間に合って良かったと思う人物もいる。
これだけの大著をものにした著者の功績は、テレビ史に於いて非常に大きい。

内容的には、通史であるから、一つ一つの作品は掘り下げてはいない。
著者が大きく関わったものを除けば、目立つ挿話や関係証言の羅列で構成される。
しかし、特に創生期の時代劇に関しては、もうこれ以上の本は誰にも出せまい。
なにしろ昭和28年以前から平成十年までの通史であるから、
それでもかなりの膨大な本となっており、読破には根気も必要だろう。
巻末にはテレビ時代劇リストが載っているが、これは年度と主な出演者、制作会社の羅列。
 『テレビドラマ全史』を持っていれば、それほどは必要無さそうだ。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:7
  大変惜しい事に、索引が無い。この手の資料では索引は必須である。

面白さ:7
  様々な時代劇、時代劇役者の挿話が次々と繰り出される。

必携度:8
  とにかくテレビ時代劇資料の決定版。

入手難度:3
  やはり読破のハードルが高いためか、かなり中古市場に流通している。