昭和千本のドラマたち書 題:昭和千本のドラマたち
副 題:
著 者:高瀬昌弘
出版社:廣済堂
発行年:2007/11/15
著者は昭和29年に東宝に入社、稲垣浩の下で活動する。
だが一本立ちする前に映画界に斜陽が訪れ始める。
焦燥の中で目にした『青春とはなんだ!』第一回放送に新しい息吹を感じ、
その感想を松森健に出したところから、著者のテレビ人生が開けたのである。
以後、東宝&日本テレビ制作の元祖青春もので、中核監督として多数制作した。

題にある千本のドラマというのは、以来、著者が手掛けたテレビドラマが
千本を超えるという事から来ているのだろう。
青春ものの後は『江戸の旋風』『江戸の渦潮』を中心とした時代劇も手掛け、
鬼平犯科帳など平成になっても活躍した。
けれども、やはりこの人の生来の本分は、青春ものにこそ有ったように思う。
帯には夏木陽介、竜雷太、中村雅俊という新旧三大青春スターが並ぶ。

岡田晋吉日本テレビプロデューサーといい、
本当に作り手側が青春の想いで制作していたのがあの枠だったのだと痛感させてくれる。
ビデオ撮りになり、いくらでも撮り直しが可能で、失敗しても笑いネタにできたり、
そういう気楽な状況は、技術的にはたしかに進歩しているのだろうけど、
失われていった部分も大きそうだなと想像するのである。
おそらくそれは、妄想ではないだろうという確信と共に。
こうした時代にこうした作品に関われた人々は、
それだけでもう、とてつもなく幸福な人々である。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:7
巻末には高瀬監督ドラマ一覧が表記されている。

面白さ:7
当事者の記憶語りというのは、いつもながら面白い。

必携度:5
青春ドラマの中核監督だけに踏まえておきたい。

入手難度:3
入手は容易。