私の裏切り裏切られ史書 題:私の裏切り裏切られ史
副 題:
著 者:花登筐
出版社:朝日新聞社
発行年:1983/12/10
バーナード・ショウをもじったと言われる劇作家、花登筐(はなと・こばこ)。
ワタクシが最もノメりこんだドラマ『細うで繁盛記』『どてらい男』の作者で、
関西的立身出世ど根性物語を数多く作った人物である。
他には『船場』『ぼてじゃこ物語』『あかんたれ』等々も、記憶する人は多いだろう。

 しかし、古くからのテレビマニアはよくご存知の通り、
元々は関西喜劇で名を成した人であった。
『やりくりアパート』『番頭はんと丁稚どん』で関西テレビ界を席巻。
のみならず、その猛威は関東人をも巻き込んでテレビ黎明期を闊歩した。

同時に、彼が引き立てた当初無名のコメディアン達、
佐々十郎、茶川一郎、大村崑、芦屋雁之助、小雁といった面々も
黎明期のテレビで八面六臂の大活躍となる。
しかし、そこに早くも裏切り、裏切られの芽が生じた。

『笑いの王国』を設立した花登に付いていったのは、大村崑と芦屋兄弟。
佐々、茶川の両者は居残り、師弟は引き裂かれた。
もっとも、佐々、茶川が裏切ったのか、花登が東宝を裏切ったのかは、
当事者それぞれに言い分が有ろうし、だからこそ『裏切り裏切られ』なのである。

この例を始め、花登が直接関わった芸能界の裏話が次々と、
それこそ洗いざらいといった感じで語り続けるのだが、
実は著者はこの時、既に自らの余命の短さを悟っていたのだろう。
出版されたのは、著者の没後すぐであった。

最終的に彼は、自ら手塩に掛けた大村崑や芦屋兄弟にも
「裏切られ」るのだが、死を目前とした著者は、
恨み辛みを超えて超然と著者視点からの事実を書き綴っているので、
第三者からは醜さのようなものは、それほど感じない。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:7
関西テレビ喜劇黎明期の裏騒動が手に取るようにわかる。

面白さ:6
あくまでも著者側からの視点に過ぎないという事は忘れないよう。

必携度:5
花登喜劇、ドラマが好きだった人なら必読。

入手難度:6
入手は容易だが、廉価な物は無さそう。