TVアニメ25年史書 題:TVアニメ25年史
副 題:THE ART OF JAPANESE ANIMATION Ⅰ
著 者:アニメージュ編集部編
出版社:徳間書店
発行年:1988/12/1
データ原口がアニメージュ編集部で活躍当時の、
日本アニメ資料史上に輝く珠玉の一冊である。
データ重視派のヲタクであれば、
誰もが作りたいと思ったであろう徹底的なデータ網羅性と、
ほぼ完璧と言える図版の掲載が為されている、
おそらく現在までも、他に類例が無い資料となっている。

これは、専門誌アニメージュの創刊という、
アニメの発展に特別な寄与のあった
徳間書店の名の下でなければ絶対に実現不可能であろうし、
それでも、「TVアニメ25年」という特別な節目という事で、
かなり部数を限定されての権利許諾だったようである。
それ故、中古流通数も非常に少なく、
一部では幻の資料と呼称する向きも有るほどとなっている。

収録最終番組は、『名門第三野球部』で、昭和63年10月放送開始。
従ってこれは結果的な偶然なのだが、本当に昭和末期までとなり、
事実上、昭和アニメ史本としても機能する事となった。
判明する限りおよそ必要とされる以上のデータが、
全ての番組に施され、ほぼ全てに図版も掲載されている。
ほぼ、ほぼと書いているのは、長谷川町子原作の
『いじわるばあさん』『サザエさん』だけ図版が空白だからだ。
これだけの学術的価値ある書籍にすら権利許諾をしないとは、
些か歪んだ権利意識という印象を抱かせてしまう。

なお、同シリーズには日本アニメ映画史を扱ったものも有る。
そちらの資料的価値は、こちらをも上回るであろうもので、
つくづくよく調べ、丁寧に作り込んであると感心する以外に無い。
星を5個までしか付けられないのがもどかしいほど、
燦然と輝く資料であると、最大の賛辞を惜しみなく贈ろう。 


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:10
図版も有って資料性も完璧。

面白さ:9
全作にあらすじと解説が施されている。

必携度:10
昭和アニメを調べようと思ったら必携の一冊。

入手難度:8
数は少ないが中古流通しているも、価格がやや高め。