円谷一書 題:円谷一
副 題:ウルトラQと”テレビ映画”の時代
著 者:白石雅彦
出版社:双葉社
発行年:2006/7/20
円谷英二の長男にして、英二の死後、
円谷プロ二代目社長となった男の評伝である。
しかし、特撮と関わったのはほんの数年だったため、
これまであまりヲタク連中に採り上げられずに来ていた。

それ以前はTBS社員として一般ドラマを制作し、
昭和37年の東芝日曜劇場作品『煙の王様』は、
子供達の活き活きとした姿を活写して、非常に高く評価された。
ワタクシなどは、そのままの彼を見たかった口であるが、
大円谷の名跡を絶やすわけにはいかないという運命から、
彼は逃れる事が出来なかった。

円谷二代目として、『帰ってきたウルトラマン』に始まる
第二期ウルトラシリーズを軌道に乗せ、
『ミラーマン』と併せて70年代一大特撮ブームを巻き起こす。
円谷の文字通り救世主となった彼は、
まるで自らの命と引き替えのように、物故してしまうのである。
様々な観点から、大変惜しい人物だったと思う。
 
それは、人柄からも思う。
この本ではそれこそ色々な人物が一について語っているが、
やはりお坊ちゃまという事で、人間に嫌みを感じない。
聞けば聞くほど好漢だった事が偲ばれ、
語る人々の惜しむ気持ちが痛いほどに伝わってくる。
このような人物はそうは多くないと思うが、 
であるからこそ、生き馬の目を抜く「経営」で磨り減ったのではないか。 


 ★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:7
証言という史料のみならず、資料の探索にも怠りが無い。

面白さ:7
ひとえに人物の魅力。これに尽きる。

必携度:3
テレビ史の中では限られた位置なので。

入手難度:4
力作ではあるが定価がやや高めで、中古もそれなり。