CM音楽書 題:みんなCM音楽を歌っていた
副 題:大森昭男ともうひとつのJ-POP
著 者:田家秀樹
出版社:2007/8/31
発行年:徳間書店
かなり分厚い本で、400ページ以上ある。
しかし、隅から隅まで貴重な話が満載の、鯨のような本だ。
スタジオジブリの機関誌に連載されたものをまとめた
という話なのだが、何故ジブリでCM話なのか解らない。
それはともかく、貴重な連載、出版である事は確かだ。

基本的には、大森昭男という人間の仕事を扱うという事は、
日本のCM音楽史、即ち、もう一つのJ-POP史を扱う事
という視点から作られているようだ。
これはあながち大袈裟でもなく、大滝詠一や山下達郎も、
CM音楽の職人だった時期が有る訳だ。

しかし、そもそもラジオ全盛時代からの、
日本のCMソングの雛形を作り上げた三木鶏郎の頃、
日本中で口ずさまれたコマソンは、正に「歌謡曲」だった。
大森昭男は三木鶏郎門下であり、彼の下から
大滝や山下のCMも出る訳で、大森昭男を扱うと言う事は、
日本のCM音楽を扱う事になるだろうという事なのである。

そう書中のあちこちで断ってはいるのだが、
これだけの連載となったからには、
より完全に近づけたかったのだろう。
大森昭男の繋がりからは外れる流れ、
例えば小林亜星などにも話を聞くなど、
この一冊で大きなCM音楽関係者は大体扱われている。


 ★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:10
入念な聞き込み、対象の広さ。巻末には大森昭男CM全作品。

面白さ:9
これまでのCM関連本では無かった突っ込みぶり。

必携度:9
CMに興味が有る人は必需の一冊。

入手難度:5
そこそこの値段で。