封印作品の憂鬱書 題:封印作品の憂鬱
副 題:
著 者:安藤健二
出版社:洋泉社
発行年:2008/12/1
数多い封印作品本の中でも、ドキュメンタリー手法が
最も読ませる一冊となっている。
扱われているのは、日本テレビ版『ドラえもん』、
『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』、
みずのまこと版『涼宮ハルヒの憂鬱』の三作品。

三作しか使っていないから内容が薄いかと言えば、 
それだけ他の封印もの本よりコクのある内容となっている。 
ただ正直、この三作品すべてに興味が有る人は多くないだろう。
ワタクシは『ドラえもん』以外、正直どうでも良い話である。
しかし、そういう事も有ったんだねという知識にはなる。

藤本弘は日テレ版ドラえもんについて強い違和感を抱き、
テレ朝版が放送されるようになってからは、
旧作の放送を積極的に阻止するほどだったという。
また、制作会社の日本テレビ動画の正体にも迫り、
意外な人脈と、伏魔殿であるテレビ業界の一端を浮き彫りにする。
この『ドラえもん』の稿だけで、充分に購入の価値は有るだろう。


産んでおいて、 お前なんか産むんじゃなかったという親は嫌いだ。
どんなに望まれない生命であれ、
その存在を否定にかかる者が嫌いだ。
否定されるべきは、他者の存在を否定する存在のみだろう。
鬼っ子にも、なんとか生き延びる術を与えてあげて欲しいと思う。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:8
かなり綿密に調べている。

面白さ:8
範疇は狭いものの、ドキュメンタリーとしても面白い。

必携度:4
なにしろ3作品だけなので。

入手難度:5
  入手は容易だが古書もそれほど安くはない。