テレビ料理人列伝書 題:テレビ料理人列伝
副 題:
著 者:河村明子
出版社:日本放送出版協会
発行年:2003/12/10
NHK職員当時から、フリーとなってもしばらく、
『きょうの料理』という番組を担当していた筆者による、
テレビ料理人列伝と呼ぶべき一冊。
なにしろ昭和32年放送開始で、いま現在も続く
超長寿番組にも関わらず、これまで料理本という形以外で
触れられた事が少ないだけに、貴重な本である。

今更乍らに思い当たる事は、当時は全ての番組が生放送という事。
料理番組を生放送で扱うという事が、どれだけ大変であるかは、
些細な想像力を働かせるだけでも、容易に思い至る。
第一回出演の近藤とし子を筆頭に、江上トミ、土井勝、陳建民
といった懐かしい名前が続々と登場して、
時代時代の料理の内容や、講師に関する話などが綴られていく。

やはり「食」というものを追求している人々というのは、
みな考え方も生活態度もきちんとしていると思う。
ワタクシは若い頃、本当に腐った人間だったけれども、
『いつみても波瀾万丈』という番組で陳建一が、
若い頃に料理に励む姿を見て、考えを改めたものだ。
他人に美味しい物を食べさせる事に、ああも真剣になる人々。

その陳建一も歴代講師の一人だが、父親の陳建民は、
やや不自由な日本語を駆使する姿を記憶する人も多いだろう。
土井勝の名もテレビ料理ではすぐに思い出す名だが、
なんと本放送開始前の、NHK試験放送時代からの関わりだという。
白がそのままでは綺麗に映らず、大根から割烹着から、
わざわざ水色に染めたという変な苦労も有ったという。

土井勝もずっと後年まで民放でも活躍したが、
特に昭和35年前後は料理番組戦国時代とも言える活況で、
全ての放送局で3つくらいの料理番組を持っていた。
必然、講師の名も重複していたのだが、
やはり天下のNHK『きょうの料理』講師たちが、
知名度としては頭抜けたものが有るだろう。
料理番組の歴史を知るには、絶対に欠かせない数少ない一冊だ。 


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:9
ただでさえ資料が少ないものだが、元制作者だけによく集めている。

面白さ:7
食生活の貧しかった時代から、少子化の入り口まで、様々な事情。

必携度:7
料理番組の歴史を知ろうとすれば、揃えるべき書は限られる。

入手難度:2
  ヲタクが欲しがる本ではないので、中古市場も荒らされていない。