昭和のテレビ童謡クロニクル書 題:昭和のテレビ童謡クロニクル
副 題:『ひらけ!ポンキッキ』から『ピッカピカ音楽館』まで
著 者:小島豊美とアヴァンデザイン活字楽団
出版社:DU BOOKS
発行年:2015/5/20
まず書題に偽りが有る。
これは「昭和のテレビ童謡クロニクル」ではなく、
「小島豊美を通して振り返る子供番組音楽史」である。
語られているものは、まずはポンキッキ、
そして、おかあさんといっしょ、パオパオチャンネルと、
その辺が主だった番組で、それ以前は皆無である。
これで「昭和のテレビ童謡クロニクル」は、大言に過ぎよう。

小島豊美とは、ポンキッキの音楽を、ほぼ一人で
担当していた人物で、毎月の歌の選定は勿論、
耳馴染みあるブリッジなども、ほとんど彼によるものだ。
だから、「ひらけ!ポンキッキ クロニクル」なら問題無い。
従って、質量共にポンキッキの話は凄いものが有る。
更にはNHKでも「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」等の
音楽に係わるのだが、それは番組中期以降だから、
大言したくなる気持ちも分かるが、「昭和の」は戴けない。
そこまで大言したいなら、ぜひ日テレやTBS、NETの
子供番組の音楽にも踏み込んで戴きたい。

テレ朝のパオパオチャンネル、ピッカピカ音楽館も、
多くは彼の手掛けた作品である。
それら番組の話を中心に、語られているのは
昭和のテレビ童謡ではなくて、あくまでも小島の個人史。
勿論、その回顧によって多くのテレビ童謡が解説されている。
特にポンキッキに関しては、もちろん完全とは言えないが、
かなりの次元まで語られていると言って良いだろう。
ディスコグラフィーも、完璧ではないが充実している。

どうも我が本家ブログのポンキッキコメント欄に
示唆を得た質問も多いように感じたが、
その割りには最も踏み込んで欲しかった、
南こうせつとかぐや姫「うちのお父さん」についての話が無い。
いまだにどこも書いていないという、真空曲となっている。
あれも紛う方無きポンキッキソングだったのだし、
その経緯をぜひ知りたかったのだが。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:8
  書題に騙されず、ポンキッキと幾つかの番組音楽史として買いましょう。

面白さ:8
  ポンキッキ以降に限れば、かなりのテレビ童謡に関わった人物史。

必携度:7
  子供番組に興味が有る人は必携だろう。