赤塚不二夫のことを書いたのだ!!書 題:赤塚不二夫のことを書いたのだ!!
副 題:
著 者:武居俊樹
出版社:文藝春秋
発行年:2005/5/26
少年サンデーの武居記者と、少年マガジンの五十嵐記者と言えば、
赤塚ファンなら知らない者はいない名前だ。
何故ならどちらも、赤塚が毎週のように作中に書いていたから。

この編集者を扱う内輪ギャグも赤塚が先鞭をつけたもので、
フジオプロから巣立ったとりいかずよしが、ジャンプの
角南記者を用いたスナミ先生を『トイレット博士』に出し、
この手の方式が特にジャンプの中で一般化していく。

かつては内輪ネタは表現の世界で忌避されていたのだが、
その垣根をぶち壊したのが赤塚不二夫だった。
それはテレビでのとんねるずによる内輪ギャグに繋がり、
今では内輪ネタを使わないテレビも漫画雑誌も無いだろう。

そんな武居記者による、赤塚不二夫回顧録である。
まるで赤塚が乗り移ったかのような筆致で、
どれだけ濃密な時間だったのかが窺い知れる。

アマゾンのレビューで、読者と漫画家を繋ぐのが
編集者の役割ではないかと叱責している人がいたが、
赤塚の先進性に読者が付いていけなかっただけの話だ。
べつに武居記者や五十嵐記者が隔絶させた訳ではない。 


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:5
  赤塚不二夫を巡る内実の一端が窺い知れる。

面白さ:8
  赤塚が乗り移ったかの如き筆致。

必携度:4
  漫画マニアなら是非。