テレビは何を伝えることを拒んだか書 題:放送中止事件50年
副 題:テレビは何を伝えることを拒んだか
著 者:メディア総合研究所 編
出版社:花伝社
発行年:2005/7/8

岩波ブックレットNo.357『テレビ放送中止事件』が底本となる、
メディア総研ブックレットNo.10の小冊子である。
両者の内容はおそらく同じなのだが、岩波版の方は、
1993/1/6までの事例が載っており、花伝社版は
それを2003/9まで追補し、 更に座談会を追加したものだ。
従って、昭和テレビという観点からは、どちらでも良い訳だ。

内容は書題の通り、放送中止となった事例を挙げるもので、
特に安保騒動の頃は、どうしても政治・思想的な問題が多い。
勿論、放送禁止の事由としては多種に渡るのだが、
全般的には、やはり政治に絡んだ話が多い。
これは許認可事業としての宿業と言えるだろう。

これが全ての例という訳ではないだろうが、
非常に数多くの事例が次々と例示され、
資料としては非常に価値あるものとなっている。
難としては、個別の情報を把握するのが難しいという事。

つまり索引が無いし、見だしも無いし、目次も無い。
年代順に並んではいるので、そこらで目星を付けて
場当たりに調べるしかないのが、些かの難だ。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:10
  テレビの裏面史の一部を担う一書。

面白さ:6
  ただの事実の羅列。

必携度:9
  研究家ならぜひ一読しておきたい。