アニメ作家としての手塚治虫書 題:アニメ作家としての手塚治虫
副 題:その軌跡と本質
著 者:津堅信之
出版社:NTT出版
発行年:2007/4/2
これまでの手塚治虫評伝は、漫画家・手塚治虫が中心で、
アニメ作家としての手塚像は、それに付帯したものだった。
この本は、アニメ作家としての手塚治虫像、
更にはそこから、彼が本来、虫プロで何を目指していたのか、
などを考察していくものである。

虫プロは、アニメ作家を育てる目的が強く有ったというのは、
非常に意外な話だった。
だが、鉄腕アトムの特大ヒットが、虫プロの進路を変えた。
大量の人員が必要となり、必然、創作者集団というよりも、
一個の企業として存続を図らねばならなくなっていく。

そもそも手塚が作りたかったのはディズニーのようなものなのか。
手塚がディズニーの強烈な影響下に有った事は疑いが無いが、
彼が実際に作りたかったアニメは、ディズニー調のものだったか。
そういう考察を、丹念に文献と証言で展開していく。
しかしまあ、一般的にはさほど興味の湧かない視点でもある。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:6
論理展開はきちんとしているが、結局結論は推論しか有り得ないこと。

面白さ:5
ワタクシ個人には、さほど深く掘る必要の無い穴に見える。

必携度:4
相当の手塚ファンかアニメ研究者向き。