「ドラえもん」への感謝状書 題:「ドラえもん」への感謝状
副 題:
著 者:楠部三吉郎
出版社:小学館
発行年:2014/9/3
シンエイ動画を興し、現在までも続く『ドラえもん』の再テレビ化を藤子Fに許された男の自叙伝である。
 テレビ関係の書籍は数多いが、完全なる経営側の人間が書いた自叙伝は、そう多くないだろう。

 シンエイ動画とは即ち”新A”動画であり、あの宮崎駿もいたAプロという所が母体となっている。
 その独立時にはご多分に漏れずゴタゴタが有ったようだが、流石にその辺の話は遠回しにしか語られていない。

 しかし、東京ムービーの下請け時代の話も少し有り、『侍ジャイアンツ』の作詞について、あの梶原一騎にご指導したという話は凄い。
 勿論、シンエイ動画となってからの裏話は抱負で、社長と言っても、かなり作品の筋立てに関わっていた人物だからこそ、この様な物を書けるのだろう。

 かなり愛される人物のようで、あのテレビ朝日の天皇・小田久栄門にも愛でられていたようだ。
 漫画の『クレヨンしんちゃん』 で、シンエイ物産社長 巣苦辺三和郎(すくべ・さわろう)という男が出て来た事が有るのだが、ワタクシは単に「すけべ・さわろう」のもじりとしか思っていなかった。

 しかしてその実体は、この(くすべ・さんきちろう)がモデルだったのである。
 ちなみに、東京ムービーで活躍した動画家の楠部大吉郎は彼の実兄であり、勿論、シンエイ動画設立にも関わっている。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:7
本人による記憶語り。

面白さ:7
好人物である事が偲ばれる、ホッとする話が満載。

必携度:4
昭和アニメ知識を一つでも多く得たい人なら必読。


入手難度: