鉄腕アトムと共に生きて書 題:鉄腕アトムと共に生きて
副 題:声優が語るアニメの世界
著 者:清水マリ
出版社:さきたま出版会
発行年:2015/6/30
 日本初の連続テレビアニメ、『鉄腕アトム』でアトムの声を担当した声優の自叙伝である。
 即ち、日本で最初のアニメ主役の本である。
 内容は、正に自叙伝と呼ぶべきもので、生い立ちから青春時代、更には執筆時点の現在までを、時間軸のままに進めて記述している。

 やはり白眉はアトム時代となるが、その他の時代、特に駆け出しの舞台俳優時代などもタップリと語られている。
 それどころか、テレビの仕事からやや離れ気味となってからの、地元での語りの会に関する事、純粋な趣味に関する事なども、結構な分量をかけられている。

 なのに、個人的に非常に残念だったのは、これだけ私的な事までタップリと書いてある本なのに、意外とアニメ以外の声優の仕事に関して語られていないのである。
 名犬リンチンチンとかスーパーフューリーなど、昭和30年代の、現存していないであろう外画声アテの話なども、もっと書いて欲しかった。


★★★★★ 独自採点 ★★★★★


資料性:5
声優個人に関する事は非常によく理解できる。

面白さ:6
人柄そのままに飾らない描写。

必携度:6
なんと言っても初のアニメ主役の自叙伝。